社会保険の書類

社会保険の適用範囲が拡大!

2022年~2024年にかけて、社会保険の適用範囲が拡大されますね。
私は普通に社会保険に入っているので、毎月給料から2割くらいしっかりと天引きされています。たくさん引かれるなあともやもやしますけど、もう「こういうものだから」って諦め半分で見ている感じです。

だから社会保険の範囲が広がったところであんまり関係はないんですけど、保育士には配偶者の扶養範囲内で働いているパートさんも多いので、この話題はときどき上がるんですよね。やっぱり、扶養範囲何で働いている人にとっては死活問題らしいです。

保育園の規模で適用拡大の時期が変わる?

まず、社会保険というのは健康保険や厚生年金を始めとする公的制度です。希望者が入れるというわけじゃなくて、加入条件に該当する場合は、必ず社会保険に入らなくてはならないと法律で定められています。
つまり、条件を満たしたら否応なしに社会保険の加入者になるんです。だから、条件を満たさないように頑張るパートさん・アルバイトさんがいるんですね。

2022年3月から、従業員数501人以上の勤め先は、社会保険の対象になりました。そして、2022年10月からは、従業員数101人以上の勤め先が対象になるんです。
そして、2024年10月には、従業員数51人以上の勤め先が対象になります。これで、一気に社会保険の加入対象者が増えることになりますね。

パートやアルバイトの方で、扶養範囲内で働いている方からは「103万円の壁」という話を聞いたことがあるかもしれません。収入が103万円を超えると配偶者控除が受けられなくなってしまうんですね。そして、収入が160万円以上になると、社会保険の被扶養者になれないので、自分で社会保険に加入しなくちゃいけなくなるというわけです。

それだけじゃなくて、収入を問わず社会保険の加入条件に当てはまることもあります。それが、勤務時間です。契約期間が2ヶ月以上あって、正社員の4分の3以上の勤務時間があれば、社会保険に加入しないといけないんです。

今回の適用拡大で、以下の条件をすべて満たしているパートやアルバイトの人は、社会保険の加入対象になります。

  • 週の(所定)労働時間が20時間以上
  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  • 月額の(所定)賃金が8万8,000円以上
  • 学生ではない

改めて調べてみて、扶養内で働いている人たちはこんなに細かいルールを覚えて仕事の調整してたんだ……と驚いています。私なら考えるのが面倒になって、普通に社会保険に入っちゃうかも……。

社会保険に加入せずに保育士として働く方法

ここまで社会保険の範囲が拡大されても、やっぱりまだ全員が社会保険の対象になるというわけではなくて、社会保険の条件に当てはまらないという働き方もできるんですね。
もしも「社会保険には入らない!」と思っている場合は、以下のおような方法を使って、社会保険の対象外になることができます。

週の所定労働時間を20時間以内にする

1週間の労働時間(残業を含まない)が20時間以下だったら、今のところは社会保険の対象外です。残業代は含まれないみたいだから、シフトを減らして残業をたくさんするという方法もありなのかもしれません。
でも人件費をわざわざ増やすみたいな残業が許されるとも思えませんし、保育園はサービス残業や持ち帰り仕事が普通に浸透してしまっている職種でもあるので、あんまり現実的じゃないですね。

とにかく、週20時間以内で働けば社会保険の加入対象外となります。でも、勤務時間が減ってしまうとその分の収入が減ってしまって生活していけなくなるかもしれません。

あと、意外なところでは失業手当の受給対象外になるっていう点も踏まえて、ちょっと考えたいですよね。雇用保険に加入するためには、週に20時間以上の労働時間が必要なんですよ。

副業やダブルワークをする

社会保険に加入せず、かつ収入を落とさずに働くっていう線で考えるなら、やっぱり副業かダブルワークで補填するのが現実的かなと思っています。社会保険って職場ごとに決まっているものだからです。
ただし、注意点が2つあります。

まず1つは、どの職場でも、賃金月額が8万8,000円以上(年収106万円以上)にする必要があるということ。月収が8万8,000円以上を超える月があると、その職場では社会保険の加入対象に含まれることがあります。

もう1つは、1年間の所得の合計は130万円以内に抑えなくちゃいけないということ。これは相変わらず変わりませんね。これは、ダブルワークでもトリプルワークでも関係なく、通算です。年収が130万円を超えてしまうと、そもそも社会保険の扶養対象外になってしまうからです。こうなると、自分で社会保険に加入しないといけなくなります。

100名以下の職場で働く(期間限定)

2022年10月からは、従業員数101人以上の勤め先が対象になるんですよね。つまり、団体の従業員数が100名以下の保育園で働けば、社会保険の対象外になれるということですよ。転職する形でも良ければ、こちらの方法もいいのかもしれません。

ただ、この方法にはデメリットがあります。2024年10月までと決まっていることです。もっとも、2024年10月には従業員数51人以上の勤め先が対象になるので、あくまで期間限定という感じなんですよね。

50名以下の職場であれば、引き続き社会保険料の対象外ではありますけど、そんなに人数の少ない経営団体はないかなと思うので、そのときには保育施設で働くことは難しいかもしれません。

逆に社会保険に加入するメリットってなに?

ここまで調べてみると、逆に「社会保険に加入するメリットって何なんだろう?」って気になってきました。私は社会保険に加入していて、毎月よくわからないまま給料の2割くらいを差し引かれているんです。仕方ないことだと思っていましたが、じゃあこれがなんのために差し引かれているのかって教えてもらったことないんですよね。

社会保険っていっぱいあるイメージでしたが、狭い意味では「健康保険」と「厚生年金」だけなので、この2つに加入するメリットをまとめました。扶養内で働く場合も、被保険者になっているのでこのメリットは受けられるんですが、

健康保険

健康保険に加入をすると、3つのメリットがあります。

まず、扶養制度があること。これはパートさんが扶養内で働く理由ですね。配偶者の片方が健康保険に入っていれば、もう片方が個別で保険加入する必要がないので、世帯における保険料額を抑えられます。もし、片方の収入だけで生計が立てられるのであれば、すごく使い勝手のいい制度です。国民健康保険では扶養に含まれないので、個別で国民健康保険に加入しないといけません。

あと、国民健康保険、全額自己負担なんですが、健康保険料は企業との折半です。支払いの負担が半分になるんですね。

それから、生活保障が充実しているのも健康保険の特徴です。出産手当金も、国民健康保険にはないので、社会保険に加入するか被保険者として扶養範囲内に入っておけば、一時金をもらうことができます。

厚生年金

厚生年金のメリットも3つあります。

健康保険と一緒で、扶養制度があることですね。支出を抑えられるというのはやっぱり大きいです。配偶者が厚生年金に加入していて、もう片方が扶養に入るという形であれば、一方の保険料は0円です。

国民年金はもともと全員が加入するという形なんですが、厚生年金ではそこに老齢年金が上乗せされて、給付額が増えるという点です。

「年金なんて受け取れるかどうか分からない……」という話もたまに出ますが、制度が破綻するってよっぽどだとは思います。年金の給付額がとっても少なくなることはありそうなので、今は年金に頼らず資産運用でコツコツ貯めるのが主流ですね。老齢年金が上乗せされることはメリットとしてよく言われるんですが、最近の価値観ではさほどお得感はないかもしれません。

それよりも、障害年金や遺族年金のほうが「補償範囲が広くなる」というメリットが大きいので、掛け捨ての保険という形で社会保険に入るほうがしっくりきますね。

例えば、障害年金でいうと、国民年金は等級1級・2級しか対象にはならないんですが、障害厚生年金の場合は、3級でも一時金が支給されるんです。遺族年金も手厚くて、国民年金では配偶者か子どもにしか支給されないんですけど、遺族厚生年金のほうでは祖父母・父母・孫にも支給できます。

社会保険の考え方は人それぞれ

社会保険に加入すると毎月の手取りが減ってしまうので、未だにどうにか社会保険に加入せずに稼げないかと頭を悩ませている人もいます。「絶対に社会保険には入らない!」という人もいますね。天引きされる金額が増えるというのは確かだし、それが還元されている実感も薄いので、しょうがないんですけど……。社会保険って掛け捨てっぽいので、なんだか損をしたように感じる気持ちも分かります。

ちなみに、「もうこれ以上収入が下がったら生活できないかも」と言って、諦めて社会保険に入った人もいました。私が見る限り、諦めて社会保険に入ってしまった人は、なんだかんだで慣れてしまったみたいなんですよね。むしろ「社会保険に入ってよかったかも」という感じで。働く時間を気にしなくてよくなってからは、以前よりもむしろ生き生きして見えます。

もちろん、短時間で働くことが悪いわけじゃないんですけど、たくさんシフトに入ってその分収入が上がるのは想像よりも嬉しいことだったって言っていました。扶養範囲内で働く必要がなくなって、シフトに入ってくれる時間が増えたので、私としては大助かりです。
私達くらいの収入だったら、社会保険に入っていても、金額的にはさほどのデメリットはなくて、心の持ちよう次第なのかな?とは思いました。