ウイルスや細菌などが原因の感染症

ウイルスや細菌あるいは寄生虫等、様々な病原体がもたらす感染症で、多くのケースでは飲食料品を経由して口から病原体が人の体内に入るのですが、一部のものでは経口ではなく、ペットや人から感染するケースもあります。
飲食料品を経由した感染は集団発生となることが多く、食中毒と呼ばれます。

さまざまな病原体が感染症の原因であるため季節性に捕らわれず、年間を通じ一定の発生が報告されます。
ただ有名な感染症としては、冬の時期の感染性胃腸炎の原因として各種ウイルス性のモノが増加し、寒くなり始めの冬の前半は牡蠣で名の知れたノロウイルスによる胃腸炎が多く、冬の後半は感染経路がまだ解明されていないロタウイルスによる胃腸炎が多くなります。
ロタウイルスが原因の感染症は乳幼児に注意が必要な下痢症状の現れる病気で、1~4月は特に要注意です。
多数のこどもが感染し、幼稚園や学校等の施設で感染が広がれば集団感染もしばしばです。

症状は感染症の原因の病原体によりさまざまで、下痢、嘔吐、腹痛等の症状が典型的なパターンです。
病原菌の違いにより、発熱や嘔吐の症状の現れる順序や強度が異なり、血便となるなどの症状もあります。

感染性胃腸炎の検査と診断

急に、発熱を伴う下痢、腹痛、吐き気・嘔吐など消化器官系に関する異常症状が現れれば、まず感染性腸炎を疑いましょう。
食中毒の場合は、食べた食品や摂取時間、症状があらわれた時間を詳細に説明すれば、医師は病原体を推定して適切に対処してくれます。
細菌性であれば血液検査を行う事により、炎症反応等で確定出来ますが、ウイルス性であれば、同じ検査をしても数値に少し上昇がみられるだけで確定できません。

最終的な原因菌の特定は便を培養して診断され、便中の菌を直接顕微鏡で見ることで、カンピロバクター、ランブル鞭毛虫等、特徴のある形状をした細菌などを特定することが可能です。
原因がウイルス性である場合の診断は、便中の抗原・遺伝子によって判断されます。
血便を伴う症状があったり、下痢が続いたりするケースでは、内視鏡を用いた直接の視覚検査を行って診断されます。
なお、小児に多く症状の現れるロタウイルスによる胃腸炎にはA、B、Cの3種の群があり、A群以外は珍しいのですが、通常の検査試薬では検出が不可能です。

感染の原因と予防

感染性胃腸炎の予防は確実な手洗いが基本で、指先、指の間等に石鹸を泡立てつけて洗い、水でよくすすぐようにしましょう。
特に料理の前や食事の前、オムツ替えの前後は確実に十分な手洗いを遂行しましょう。
病原菌による感染源の、カンピロバクターは鶏肉が原因である場合が多く、サルモネラは鶏の卵が原因であるケースが多いです。

また、腸炎ビブリオは魚介類が原因、腸管出血性大腸菌は牛肉が原因となる場合が多いので特に調理の前の確実な手洗いが望まれます。
ノロウイルスは、主に冬季に各種施設での食中毒の主因となり例年ニュースになり、これまでは生牡蠣が感染源と言われましたが、近年は便や吐物を介して人から人への感染が問題とされます。