2才までに100パーセントがかかる呼吸器系の病気

これはRSウイルスによる小さな乳幼児の代表的呼吸器系の病気で、例年、冬以降に流行し、年令を問わず感染し発症する感染症で、その症状は軽い風邪に似た症状から重篤化すれば細気管支炎や肺炎に至るまでさまざまな症状を発症します。

乳児の多くが感染し、1才までには5割以上が、2才までには100パーセントが感染し、その後も生涯にわたり何度も、再感染を繰り返します。
特に3才以下のこどもの場合は、ときおり重篤化するケースがみられる為、要注意です。

感染力が大変強く、免疫もできにくいため、一生に何度も感染を繰り返すのですが、発症する度ごとに症状は軽度となります。
潜伏期間は個人差があり、2日~7日程度と言われますが、一般的には4~5日の場合が多いです。
感染経路は、飛沫と接触が感染の主な原因で、年長者が2度目以降に感染したケースの症例は、この疾患の典型的な症状の発現がない為、気付かれないうちに完治するケースが多くあります。

現れる特徴的な症状

冬に乳児が鼻みず、セキに続き「ぜいぜい」と苦しそうに息をするケースでは、30~40パーセントの高い確率でRSウイルス感染症だと言われます。
鼻みずを使って検査できる抗原検出キットが診断には有効ですが、入院中の子供に対してのみ保険対象となります。

重篤化したケースの主な症状は肺炎等で、初めて感染する乳幼児は鼻みず、セキ等から症状が始まり、そのうち25~40パーセントが次のステージの発熱や「ぜいぜい」息に進行してしまいます。
発熱は38℃~39℃の高熱となることもあり、1才未満の乳児の場合、呼吸困難などの重篤化に進行し、入院が必要なことも珍しくありませんので注意が必要です。

感染の予防と対応

早産未熟児、慢性肺疾患児等の先天性なケースでは、抗RSウイルス性の抗体が感染を予防する目的で投与されるケースがあり、入院率を下げる手段として有効です。
感染場所は、保育園や幼稚園等の施設での流行によるケースが多数を占め、なかなか予防が難しいのが実情です。

感染者のセキなどの飛沫に含まれるウイルスを経口で吸い込み感染するほか、ウイルスが付いた玩具等をとおして感染が広がるケースもあります。
これらの予防法は、食事の前のウガイや手洗いを十分に行い、玩具など幼い乳幼児が口に入れる恐れのあるモノは清潔をキープするようにします。

予防接種とは異なるのですが、抗RSウイルス抗体の「シナジス」という商品名称の注射薬が薬局で販売されており、これも有効な予防方法です。
「シナジス」はRSウイルスがコピーされて増殖することを防止するのですがウイルスを特定して効果を発揮する為、他のワクチン接種の妨害はしません。
罹患した場合の有効な治療法は存在せず、症状を和らげる対症療法がメインで、一般的な風邪の場合と同じく、水分補給に気を付け安静に休養することがポイントです。