正式名を伝染性膿痂疹という細菌性の皮膚病
伝染性膿痂疹の膿は「うみ」を、痂は「カサブタ」を、疹は「吹出物」を意味し、皮膚の浅い場所にある細胞が細菌に感染して、通常の水ぶくれだけでなく、膿の貯まる水ぶくれやカサブタを発疹する疾患です。
水疱や膿疱は少しの刺激で破れ、菌が周辺の皮膚にうつり、新たな水疱や膿疱を次々に発症します。
次々と新たな発疹があらわれることから、「飛び火」に準えて、一般的に「とびひ」の名称で呼ばれているのです。
この疾病の型は、大きく分けて水疱性と痂皮性の2つの型があり、国内では大半は水泡性の型で黄色ブドウ球菌が原因で生じます。
最初に水疱を発疹し、それが破れた状態となり、水疱に含まれた細菌が周辺の皮膚に感染して広がるのが特徴です。
痂皮性のタイプは、溶血性連鎖球菌が原因に単独あるいは複合要因として関わっており、最初に水疱や膿疱が出来たのち、厚いカサブタに変わるのが特徴ですが、国内では稀です。
乳幼児が良く発症し、初夏から夏の汗をかきやすく、高温多湿で細菌が増殖しやすい季節に増加しますが、近年は暖房等の影響で、冬季の発症例も珍しくありません。
痂皮性タイプは、季節や年令に関わらず、むしろ大人に多く見られます。
おおむね2~5日間の潜伏期ののち発症し、その程度は、菌の量や個人の状況によって異なります。
とびひの症状とその治療
転んでできた傷や蚊等どの虫さされ跡等を引っ掻いたところが黄色ブドウ球菌に感染して炎症を起こし、水疱ができます。
カユミを感じて水疱をかくと簡単に破れて水疱の内容液や分泌物が周辺について、また感染するという悪循環で水疱が広がります。
また、早期の適切な治療は、水疱の広がりを最小限にとどめ、短期間で完治させることが可能な病気です。
症状が軽度で、広がりが少ないケースでは、抗菌薬を塗布し皮膚を清潔に保てば完治することもあるのですが、様々な場所に広がってしまうと塗るタイプの抗菌薬だけでは治療できません。
そのため、多くのケースで、飲み薬タイプの抗菌薬も併せて使われます。
誤った対処法では更なる悪化を招き完治を困難にしてしまい、合併症を起こすリスクもあり小児科受診が望まれます。
伝染力が強い細菌なので、早期に直しておかないと他人へうつす可能性も高まります。
感染の予防策と家庭でできる対応策
とびひの感染の原因となる「あせも」や「虫刺され」、「外傷」等はカユミを感じて引っ掻く前に早期に治すことが必要です。
毎日の入浴などで皮膚を清潔に保ち、手洗いを励行します。
もし、発症した場合、すぐに入浴をシャワー浴に切り替え、せっけんで患部をきれいに洗います。
水疱やそのあとを引っ掻かないように爪を短く丸く切り揃えるとともに、手洗いを励行するようにして清潔な状態を保ちます。
カサブタは、軽く洗い、患部を強く擦らないよう気を付けます。