5才~9才の児童に多くみられる通称「リンゴ病」

伝染性紅斑は頬が林檎のように赤くなるために、「リンゴ病」の名称も使われる病気で、5~9才のこどもの発症例が多いです。
原因はB19ウイルスの感染によるもので、赤血球の膜表面の抗原をとおして感染し増殖して発症します。

主な感染経路は発症した患者の、セキ等による飛沫感染で口・鼻を通し経気道的にうつります。
ただし、ウイルスに感染した者がセキ等でウイルスを排泄するのは、通常の患者ではこの病気の特徴的な発疹があらわれる約1週間以前までのため、伝染性紅斑の症状をあらわす患者を隔離したとしても感染を広げる予防策としては効果がありません。

伝染性紅斑を発症した場合の症状

感染してからの潜伏期間は5~6日で血液中にウイルスがあらわれ、気道関係の分泌物へウイルスの排泄が始まりこの時期に他人へ飛沫感染をします。
成人では感染1週間頃から発熱、頭痛、筋肉痛等の諸症状があらわれますが、こどもの場合はこの諸症状があらわれないケースが多いです。
数日経てば血液中のウイルスはなくなり、発熱等の諸症状も改善し、他人への飛沫感染はなくなります。

その後約7日程度の間は何も症状の現れない状態が続くのですが、その無症状の期間を経過すると、両頬に赤みを帯びた発疹があらわれます。
その後数日のうちに体幹や両腕、両足にも赤い発疹が広がっていきますが、体幹や両腕、両足の赤い発疹は一定の大きさに広がった後、真ん中部分から色が褪せて、網目状の発疹に変化する点が大きな特徴です。
こどもの場合、発熱等の諸症状があらわれず、赤い発疹のみが出現して治癒に向かうケースが多く見られます。
これに対し、成人が感染した場合はほとんどのケースで、頭痛、掻痒感、発熱、関節痛等の痛みを伴う様々な全身症状が症状として現れるのが特徴です。

診断と対応方法

一般的には、こどもの場合には発熱や筋肉痛などの症状が出ないことが多く、赤い発疹があらわれないと診断されませんし、実際自覚症状も現れませんので診断しようがないのが実情です。
成人であれば発熱等の症状が出るのですが、ウイルス学的な検査を実施しない限り風疹と区別することが出来ないとされています。
両頬に赤い発疹があらわれたら、伝染性紅斑の特徴的な発疹ですので診断の決め手とされます。

一般的に行われる治療は対症療法のみで、例えば発熱であれば解熱剤、関節痛が強ければ鎮痛薬が使われます。
赤い発疹の症状があらわれた時点では既に感染力を有していないため、感染が広がることを防ぐのが困難な感染症で、予防する有効なワクチンも見つかっていません。
妊婦への感染予防も困難で、妊婦が感染したケースでは20~30パーセントの確率で胎児に感染するとされ、慎重に胎児の経過観察をしなくてはいけません。