乳幼児がかかりやすい代表的な夏風邪の一種

いわゆる「夏かぜ」の代表疾患のひとつで、5月ころから患者が増え始め、6~7月にピークとなり8月以降は徐々に減少に転じ、9月以降は収束する傾向が固定しています。
流行の規模の大小は年次によって差があるものの、毎年初夏以降に必ず流行します。

ほとんどのケースで、主因となるのはA群コクサッキーウイルスへ感染したことによる発症で、特徴的な症状は口内に水疱のような発疹があらわれ発熱することです。
発症する患者は4才以下が大多数を占めており、1才が最多で、2才、3才、4才と続きますがゼロ歳児もかかりますので油断できません。

ウイルスに感染してしまうと、2~4日、長い場合で1週間の潜伏期を経て症状があらわれます。
このウイルスは感染力が強く、悪いことに潜伏期の感染力は著しく強力であることから流行を防止することが困難なのです。

症状のあらわれ方

約2~4日間の潜伏期ののち、突然前触れもなく38~40℃もの高い発熱が1~3日継続し、のどの粘膜が赤くなり、口腔内を中心に水泡や強い炎症を発症します。
この、急激な高い発熱、口内炎・水泡、咽や口蓋垂(いわゆるのどちんこ)の炎症はこの病気の典型的な3つの症状です。
口内をメインに炎症があらわれる理由はエンテロウイルス群ウイルスが喉や腸管内で増える性格を有するためで、「エンテロ」は腸管のことを指します。

特に水泡は、口内でも上顎部分や咽頭部の周辺に多く発現し、その直径は2㎜~4㎜ほどの大きさで十分目視で見つけることが可能です。
この水疱は徐々に浅い潰瘍状に変化して、痛みが出ます。
2~4日程度で解熱し、少し遅れて粘膜疹も消えて回復に向かいますが、高い発熱時の熱性痙攣、口腔内の痛みに伴う不快・不機嫌、それを起因とする脱水症に気を付けることが必要です。
また、水泡を生じている際に、直接口腔内に触れると接触感染・飛沫感染の危険がありますので、直接手で触れず、マスクを着けて観察するようにします。

感染の予防と感染後の対策

感染力が強く潜伏期の感染力も強いため特別な予防策はないのですが、乳幼児に接する人は入念に手洗いを励行することが求められます。
エンテロウイルスは、腸内で増えて便とともの排出されるので、オムツから玩具等、さらに口腔内へとウイルスの汚染が確認されており、人の手を介在した間接的経口感染が指摘されます。

便は1~4週間にわたりウイルスが残る為、洗濯物は日光やランドリーで高温で消毒することが有効です。
もし発症したら、特別な治療法が存在しないために、症状を和らげる対症療法が採用され、高熱に対しては冷却や解熱剤投与、喉の痛みが強い時は水分が多く柔らかい食事で体力を落とさないようにします。
脱水症にならないように、水分の補給に留意しなくてはいけません。