発熱が無く長期間咳が続く百日咳の症状

原因は百日咳菌の主に飛沫感染と接触感染で広まり、この菌の出す毒素によって発症し、流行の周期は2~5年と言われます。
発症すると、一般的に発熱はありませんが、咳がひどいのが特徴で、約100日間もの長期にわたり咳が続くことからこの名前で呼ばれます。
特別な季節性はなく、一年をとおして発症例が見られますが、春~夏に発生するケースが比較的多く報告されています。

症状は3つのステップをおって発症から治癒に向かい、軽い咳が出る時期、酷い咳が出る時期、治癒へ向かう時期の3段階に分けられます。
咳の軽い時期は、1~2週間続き風邪に似た症状があらわれ、鼻みずや咳が主症状です。
咳の酷い時期は2~3週間続き、5~10回発作的に「コン・コン・コン・・・・・・」と短く連続した咳(この病気の特徴ともいえる咳)が出始め、咳が終わると「ヒュー」と息を吸い込む咳が続きます。
これらの咳を繰り返すのですが、夜間に悪化が見られるのが特徴です。
治癒に向かう回復期も2~3週間続き、順調であれば咳の頻度は徐々に減少に向かいますが、ケースによっては数か月間も咳が継続することもあります。

発症例が多い年令は0~3才ほどまでの乳幼児で、生後半年に満たない乳児の発症もあり、この場合特有の咳は見られず、呼吸が止まる無呼吸や顔色が悪くなったりしますので、重篤化のリスクが高いです。
百日咳では肺炎や脳症、痙攣発作などの合併症を引き起こすリスクもあり、これも生後半年未満の乳児に多く見られ、肺炎は20パーセントを超える確率で併発します。

百日咳の特効薬による治療

百日咳菌に特効薬ともいえる効果的な薬があり、初期段階の風邪に似た症状を示す時期に投与すれば効果があるのですが、セキの酷い時期は有効ではありません。

マクロライド系には、クラリスロマシン等があり、錠剤と粉末があります。
こども用にドライシロップという甘味付きの粉薬もありますが、決して苦くないわけではありませんので、好んで飲んでくれることはありません。
テトラサイクリン系には、テトラサイクリン、ミノサイクリンなどがあります。
8才未満の小児のケースでは、歯が黄色く変色することがありますので、使用量は出来るだけ最低限に抑えるようにします。

咳が酷い時は、咳を抑制する鎮咳薬や痰を出やすくする去痰薬、気管支拡張薬を有効に活用して、症状を和らげる対症療法も採られます。

百日咳の予防に有効な3種混合ワクチンの接種

百日咳の予防で最も効果的な方法は、3種混合ワクチンの接種で、ジフテリア、百日せき、破傷風の3つの疾患に効果のあるワクチンです
このワクチン接種は世界各国で行われており、普及に従い百日咳の発生件数が激減したとされます。

日本では、生後3か月~7才半までに3回接種し、翌年にもう1回接種します。
11~12才の小児は、百日咳を除いた2種の混合ワクチンを接種することになりますが、成長に従い、ワクチンを接種した皮膚の部位が腫れやすくなるため、DT2種混合ワクチンは少量を使うことになります。