綿密な計画が必要な一大イベント

保育園行事の中でも最も多くの人が訪れると言ってもよいのが「運動会」です。
運動会は例え幼い子供たち同士とはいえ真剣勝負の場なので、毎年楽しみにして来援される保護者・親類の方もいらっしゃいます。

私ども保育士は子供たちが安全に競技をしていくことができるよう、事前にかなりの時間をかけて準備をしています。

運動会では0歳児保育の子から年長さんまで、かなり発育が異なる子供たちが一箇所に集まるのでそれぞれの体に合わせた競技を考えていかないといけません。

また競争をしたあとの賞となる景品も用意しなくてはならず、運動会の前1ヶ月くらいはかなり忙しくなります。
道具や進行の準備もそうですがもう一つ大変なのが園児たちへの練習です。

お遊戯や体操など全体で行うことから徒競走や障害物走など順路を覚えないといけないものまで、初めて経験する子供たちも多くいるのでしっかり覚えてもらうまでかなり粘り強く指導をしないといけません。

もっとも保育園の運動会の場合には、思わぬ行動をとる子供の一人二人がいるのは当たり前なのでそうしたトラブルまでも楽しむということが心構えとして必要になります。

まっすぐ走ってくれれば大成功

自分で歩くことができる園児が参加するのが「徒競走」です。
ですが単純なだけになかなか成功させるのは難しく、保育士としてもどうすれば速やかに進行ができるかということには気をつかうところです。

年中~年長さんくらいになるともう競争をする意味をしっかり理解して自分の順番や走る速度もわかってきますが、年少さんやそれ以下くらいの子供では「まっすぐ走ってくれれば成功」という感じです。

走る距離も短く直線に設定するのですが、そもともスタートからゴールに向けて走るということがあまりよくわかっていない子もいるので、保護者の方に協力してもらいながらなんとか走りきってもらうようにしないといけません。

子供によってはスタート地点から全く動かずにいるということもあるので、そうした時には保育士が手を繋いでゴールまで歩くという競技者が誰かわからないようなことも起こります。

もっともこの時期の子供さんを持つ保護者の方もはらはらして見ているので、スタートの合図でとりあえず前に進んでくれればそれで安心といった表情をされています。

私がこれまで経験してきた珍プレーとしては、「リレーでバトンを受け取った瞬間逆走」や「徒競走の途中で保護者席にエスケープ」「競技途中でBGMにあわせて踊り出す」といったことがありました。
今も忘れられない思い出になっている子もいて、大変なだけに面白さの多いイベントです。

賞にこだわるとプレッシャーになることも

年長さんくらいになると子供の中にはかなり負けん気の強い子も出てきて、競争でよい順位がとれるかどうかかなり本気で意識するということもあります。

4月生まれの男の子などはかなり体格がよくなっている子もおり、明らかに体格差のあるメンツで真剣勝負をしなければいけないということもあったりします。

賞がとれずに泣いてしまうような子もいて、なんとなく家庭で「一位になってね」といった何気ない一言を受けてそれをプレッシャーに思っていたのかな?といった気持になります。

私個人の意見としては体力差や実力差というのは隠してもしょうがないことですし、真剣勝負をすることで子供が学べることもあるのではないかと思いますが、やっぱり思うような成績を挙げられずに悔しがる子供の姿を見るのはちょっと切ないですね。