保育士が園児のお散歩で感じる苦労

保育園での活動の中の一つに「お散歩」があります。
お散歩はいつもは保育園の中だけで遊んでいる子供たちにとって外に出る貴重な時間となり、見慣れない自然に触れたりいつもよりもずっと広い場所で運動ができる機会になります。

しかし一度にたくさんの子供たちを園外に連れ出すお散歩は引率をする保育士にとってはかなり気をつかうところであり、安全面に配慮をしつつ周辺の人に迷惑をかけないようにしていかないといけません。

うちの園ではまだ報告がありませんが、近隣の保育園で実際にあった事例としてお散歩中に通行した住宅街で子供たちがはしゃいでいた声が騒音になったとして市を通じて訴えられたことがありました。

信じられないかもしれませんが、別の地域で大きな震災が起こった直後に保育園でお散歩にでかけた時に「不謹慎だ」として苦情が寄せられたこともありますので、今時はどんなことをしても苦情が来るということを覚悟しておかなければいけません。

とはいえ一般的にはお散歩で一番に気を使うのは子供の安全管理と交通安全なので、普段はそちらを何よりも優先的に考えながら仕事をしています。

子供と歩いて発見できることもあります

子供の視線というのは時に大人の想像を大きく超えることもよくあり、そのたびに私自身保育士としてまだまだだなあと思ったりします。

子供目線での発見というのは良い意味でもありますが、時に悪い意味で「どうして気づけなかったんだろう」という思いになることもあります。

特に森林や山道を歩くときのお散歩などがそうで、子供たちにとってよかれと思い自然豊かな場所を歩いたところ、小さな段差や坂道により子供が疲れてうまく前に進めなかったということを過去には経験しています。

自分の子供など1~2人くらいならば特に不都合を感じない場所でも、10人以上を一人で担当しなければいけない状況になるとなかなか難しいこともよくあります。

子供たちに喜んでもらえる場所を選びつつも、安全に全員が歩行できているかということを確認するのも保育士としての重要な役割となります。

また子供が迷子にならないように子供同士で手を繋いでもらうこともよくあるのですが、この場合にも事故が起こりやすく注意が必要です。

子供同士が手をつないでいる場合、お互いが大人と手をつないでいるかのような感覚で安心して歩いてしまうので逆に転倒などの怪我が起こりやすくなってしまうのです。

手を繋いでいるときに転倒すると肩の脱臼や頭、首など重要な部分の怪我になってしまうこともよくあり、人数確認や迷子対策として非常に気を使うところです。

何が起こるかわからないのが子供の散歩

怪我や苦情もそうですが、普段と違う環境に行くことで予測もできないようなことが起こってしまうのが保育園の散歩です。

私達大人になるとある程度「これをしては危ない」「こうしては列が乱れる」ということを予測することができるのですが、子供というのは全く大人と違う感覚で行動をとります。

突然列を乱して歩道に広がったり、かけ出して転んだりということも日常茶飯事なので普段から子供一人一人の性格や感性をつかんでおくということの重要性が身にしみます。

何かあってからでは遅いので、子供たちに楽しんでもらいつつもこれからもしっかり安全には気を使っていきたいと思っています。