歌が苦手な保育士の悩み
保育士として仕事をするときに必ず必要になるのが歌とピアノ演奏のスキルです。
小学校の先生などでもそうですが、資格を取得するために実技のテストを受けなければならずかなり苦労をする人も多くいたりします。
そういう私も資格取得の勉強や就職して最初の時期にかなり苦労をしてきたタイプで、慣れるまで相当の時間がかかってしまいました。
就職をして実際に子供たちと一緒に歌わなければいけないとき、つい自分の歌声が気になってあまり声を出さないようにしたりごまかしごまかしで歌ったりといったことをしてきました。
ですが子供というのは大人の気にしている部分を見抜くのが本当に上手で、私が歌を楽しんでいないということを察して歌の時間の盛り上がりが少なくなっていってしまいました。
これではいけないと思い立ち、自分なりになんとかコンプレックスを克服しようと歌の練習をしたりしてきましたが、生まれ持った歌の素質というものはなかなか簡単に改善することができません。
現在でも自信を持って堂々と歌うというのはまだ苦手に思っていますが、それでも当初よりはかなり改善させることができました。
大切なのは堂々とすること
私が歌に対して抱いていたコンプレックスを少なくするための一つのきっかけになったのが、「開き直れば意外となんとかなる」という別の保育士さんの言葉でした。
確かに、いくら自分がうまくなりたいと思ってもすぐに飛躍的な効果が出せる方法というのはありませんので、今の自分の実力としてどこかで認めないといけません。
アドバイスをくれた保育士さんが教えてくれたのが、現在ではタレントとして活躍中の元うたのおねえさんこと「はいだしょうこさん」です。
はいだしょうこさんといえば宝塚歌劇団出身の歴代でも人気の高いおねえさんですが、ネットで絵描き歌の動画が出回ったのをきっかけに一気に有名人になりました。
一般の人から見れば絵が下手であるということだけでつい笑ってしまうところですが、私達のような子供に関わりを持つ仕事をしており、自分の苦手な分野のことも行わなければいけない立場の者としてはまた別の見え方ができてしまいます。
はいだしょうこさんが人気になったのは、絵が下手であったからということでなく、それを堂々とした態度で開き直って見せることができていたからではないかと思います。
自分は下手なのだと萎縮してしまっていたらむしろ周囲の空気が暗くなってしまい、笑いにつながることはなかったのではないでしょうか。
誰しも得意の分野と苦手な分野はあるわけですから、できないことをいちいち気にしていては仕事をしていくこともできません。
私はその時からはいだしょうこさんを勝手に心の師として、下手な歌でも堂々としていれば大丈夫と思いながら日々の業務にあたっています。
主役はあくまでも子供であることを忘れない
もう一つ子供たちと一緒に遊ぶときに気をつけているのが、主役はあくまでも子供であるということです。
よく考えてみれば保育園での歌は自分のうまさを子供に聴かせるためでなく、子供たちに歌うということの楽しさを知ってもらうということなので、特段自分がうまく歌うことができなくても問題はありません。
むしろ自分から歌わないようにしていくことで子供たちの様子をよく見ることができ、一人ひとりの歌声を聞き取ることができるようになったように思います。
苦手を苦手と思っているだけのうちはそうした発想の転換をすることができませんでしたので、今は歌が苦手だということも保育士としての一つの資質だったのだと感じます。